高齢者の冬の冷え性対策|食事・運動・生活習慣で体を温める方法

冬になると多くの高齢者が訴えるのが「手足の冷え」「体の芯が冷える感じ」「夜眠れないほどの寒さ」です。 高齢になると 筋肉量の減少・血流低下・自律神経の乱れ が起こりやすく、冷えの影響を受けやすくなります。また、冬場は血圧が上昇しやすく、循環器疾患のリスクも高まるため、冷えを軽く見てはいけません。

厚生労働省の健康づくり指針日本老年医学会の研究 によると、冬場の体温低下は高齢者の体調悪化や転倒リスク、心血管イベント(心不全・脳梗塞)との関連があると報告されています。

本記事では、高齢者が安全に取り組める“温活”として、食事・運動・生活習慣まで、医学的根拠にもとづき詳しく解説します。ぜひ、今日からできることを少しずつ試してみてください。

1. 高齢者が冷え性になりやすい理由

① 筋肉量の低下(サルコペニア)

筋肉は熱を生み出す器官であり、全身の熱産生量の約6〜7割が筋肉に依存しています。加齢により年間1〜2%の筋肉量が失われると、基礎代謝低下や体温低下につながります。

日本老年医学会によると、筋肉量の減少は「熱産生量の低下」と密接に関係し、冬の低体温リスク増大につながると報告されています。

  • 高齢者向けポイント: 椅子に座ったままでもふくらはぎや太ももを動かす簡単な筋肉運動を習慣化すると体温維持に効果的。まずは1日5分からでもOK

② 末梢血管の収縮(血流低下)

寒さにより血管が収縮すると血流が悪くなり、手足が冷たく感じます。高齢者は動脈硬化が進みやすく、若い人よりも血行不良が起こりやすい状態です。

循環器学会報告によると、高齢になるほど末梢循環が低下して冷えを感じやすいことが示されています。

  • 高齢者向けポイント: 足首・手首のストレッチや軽いマッサージで血流を促す。毎朝や入浴後に行うと習慣化しやすいです。

③ 自律神経の乱れ

自律神経は体温調整を担当していますが、加齢により交感神経・副交感神経のバランスが乱れやすく、体温を上げにくくなります。

高齢者は寒冷刺激に対する自律神経反応が鈍く、体温維持が難しいことが示されています。

  • 高齢者向けポイント: 就寝前の軽い入浴や足湯で自律神経を整えると冷え改善に役立ちます。「今日は寒いな」と感じたらまず足湯から始めましょう。

2. 食事でできる冷え性対策(温める食材)

● 体を温める代表的な食材と根拠

  • しょうが(生姜):ショウガオールが末梢血管を拡張し血流改善に寄与。
  • 根菜類(大根・にんじん・レンコン):加熱調理で体を温める効果増。
  • ネギ・玉ねぎ:硫化アリルが血行促進・代謝アップ。
  • 発酵食品(味噌・納豆・甘酒):腸内環境改善→免疫力アップ→体温維持に有効。
  • 黒い食品(黒ごま・黒豆・黒酢):ポリフェノールが血流改善に寄与。

● 温かい飲み物で内側から温める

  • 温かい味噌汁(具沢山がおすすめ)
  • 生姜湯
  • ホットミルク(睡眠の質向上にも)
  • ほうじ茶・しょうが紅茶

※高齢者は利尿作用の強い飲み物(コーヒー・緑茶)に注意。

● 高齢者への実践的アドバイス

  • 1日1回「温かい汁物」を習慣にする
  • 冷たい飲み物は控えめ(冬の脱水予防にも)
  • 塩分は控えめ、具材を増やして満足度アップ

無理せず、まずは1品から取り入れると続けやすいです。

3. 運動で血流を良くする(無理なくできる温活)

筋肉を動かすと熱が生まれ、血流改善につながります。激しい運動は不要で、椅子に座ったままでも十分です。

● 椅子に座ってできる簡単運動

① かかと上げ(ふくらはぎ強化)

  • ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓へ戻す役割があります。
  • 回数:20回 × 2セット
  • ポイント:無理のない範囲で、朝晩2回でも効果あり。

② 足首回し(むくみ・冷え改善)

  • 左右10回ずつ

③ ふくらはぎマッサージ

  • 足先→心臓方向へ優しくさする

● 軽い筋トレで代謝アップ

  • 1日10分の散歩(室内可)
  • 椅子からの立ち座り

国立健康・栄養研究所によると、筋肉量1kg増で基礎代謝約13kcal/日増加、冷えにくい体作りにつながります。

4. 生活習慣の見直し(毎日できる温活)

● 足湯(即効性の高い温熱療法)

  • 温度:40〜42℃
  • 時間:10〜15分
  • 効果:血流改善・自律神経安定・不眠対策
  • 注意点:持病がある場合は医師に相談。長時間の熱湯は低温火傷の恐れ。

※寒い日はまず足湯で体を温める習慣を。

● 服装で体温ロスを防ぐ

  • 首・手首・足首を温める「三首あたため」
  • レッグウォーマー・腹巻き
  • 室内では薄いダウンベストも推奨

● 住環境の工夫

  • 加湿器で湿度40〜60%を維持
  • 室温20〜22℃が推奨
  • 床が冷える家はスリッパ必須

● 睡眠の質を高める

  • 就寝1〜2時間前の入浴で深部体温を調整
  • 湯たんぽはタオルで包む
  • 電気毛布は低温設定

5. 高齢者本人向けチェックリスト

  • □ 温かい飲み物を1日1〜2回飲む
  • □ 足先のストレッチを毎日続ける
  • □ 足湯や温活を取り入れる
  • □ 湿度・室温に気をつける
  • □ 食事にしょうが・根菜類を取り入れる
  • □ できることから1つずつ始めると続けやすい

6. 家族向けアドバイス:冬の冷えは危険のサイン

高齢者の強い冷えは以下の病気の初期症状と重なることがあります。

  • 低体温症(体温35℃以下)
  • 脱水症
  • 心不全・心筋梗塞
  • 甲状腺機能低下症

家族が気をつけたいサイン

  • 手足が常に冷たい、色が白っぽい・紫色っぽい
  • 食欲低下
  • ふらつき・めまい
  • いつもより元気がない

対応ポイント:体調悪化時は医療機関受診を早めに。症状に応じて水分補給・温かい服装・軽い運動の調整も。

7. まとめ:できることから始める温活

高齢者にとって冬の冷え性は、体調不良の大きな引き金になります。食事・運動・生活習慣を少しずつ改善することで、冷えにくく疲れにくい体作りが可能です。毎日の小さな温活を積み重ね、体も心もぽかぽかの冬を過ごしましょう。無理せず、自分のペースで少しずつ実践するのがポイントです。

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