長い年月をともに過ごした位牌を手放すとき、心の中には「本当にこれでいいのだろうか」「失礼にならないだろうか」という迷いが生まれるものです。位牌は故人の魂が宿るとされる大切な存在。だからこそ、最後まで丁寧に、感謝を込めて見送りたいものです。
この記事では、位牌を処分する正しい手順や供養の方法、注意点や費用の目安を、心に寄り添う形でわかりやすく解説します。お寺への依頼方法や自宅でできる供養の流れも紹介しながら、「安心して手放せる心の準備」ができる内容になっています。
位牌を手放すことを考えるとき

「位牌を処分する」という言葉には、どこか抵抗を感じる方も多いでしょう。それは当然のことです。位牌は、故人との思い出や日々の祈りの対象であり、家族の“心のよりどころ”だからです。
しかし、世代交代や住環境の変化、仏壇の買い替えなど、やむを得ず手放すタイミングが訪れることもあります。大切なのは、“処分”ではなく“感謝を込めたお見送り”という気持ちで臨むことです。
もし心の整理がつかないときは、まずは家族と話し合いましょう。「どう供養したいか」「どんな形で感謝を伝えたいか」を共有することで、迷いが少しずつ和らいでいきます。
魂抜き(閉眼供養)とは
位牌は単なる木の札ではなく、故人の魂が宿る“象徴”とされています。そのため、処分の前には必ず「魂抜き(たましいぬき)」、または「閉眼供養(へいがんくよう)」を行う必要があります。
魂抜きは、僧侶の読経によって位牌に宿っていた魂を天に還し、「この世での役目を終えました」という感謝を伝える大切な儀式です。
🔸 魂抜きの流れ
- 菩提寺やお付き合いのある寺院に連絡し、供養の日時を決める
- 僧侶に読経をしてもらい、魂抜き供養を行う
- 供養後、位牌は“ただの木”に戻るため、処分・お焚き上げが可能になる
お布施の目安は5,000〜10,000円程度。読経時間は10〜20分が一般的ですが、法要と併せて行うこともできます。
また、遠方や事情によりお寺に行けない場合は、僧侶の出張供養やオンライン供養を依頼することも可能です。
位牌を手放す3つの方法と費用相場
位牌を手放す方法には、主にお寺・仏具店・自宅供養の3つがあります。それぞれの特徴を理解し、自分や家族に合った方法を選びましょう。
① お寺に依頼する(最も丁寧で安心)
お寺で供養とお焚き上げを一緒に行う方法です。僧侶による読経で魂を送り出し、その後、炎で天に還す儀式をしてもらえます。
- 費用目安:5,000〜15,000円
- メリット:宗派に沿った正式な供養ができる/安心感がある
- 注意点:菩提寺がある場合は、まずそのお寺に相談するのがマナー
お寺によっては、毎年決まった時期に「合同お焚き上げ」を行っているところもあります。個別対応が難しい場合でも、こうした機会を利用するとよいでしょう。
② 仏具店・葬儀社に依頼する(郵送対応も可能)
最近では、仏具店や葬儀社が位牌のお焚き上げを代行するサービスを提供しています。専用の段ボールで郵送する形式も多く、遠方でも依頼可能です。
- 費用目安:3,000〜10,000円(郵送料別)
- メリット:自宅から依頼できる/複数同時に処分可能
- 注意点:魂抜き済みであることを証明できるよう、僧侶に依頼書またはメモを添える
一部の仏具店では、供養証明書(お焚き上げ完了証)を発行してくれるところもあり、心の安心につながります。
③ 自宅で感謝の供養をしてから自治体で処分する
お寺に依頼できない場合は、自宅で感謝の祈りを捧げてから処分する方法もあります。
- 静かな環境で、位牌の前に手を合わせ「これまで守ってくれてありがとう」と感謝を伝える
- 白布や和紙に包み、可燃ごみとして出す(自治体のルールを確認)
- 可能であれば、他の仏具とは別にし、清潔な袋に入れる
- 費用目安:無料〜数百円
- 注意点:魂抜き済みの位牌のみ対象。まだ供養をしていない場合は、この方法は避ける
この方法はあくまで“最終手段”として考えましょう。形式よりも、感謝の気持ちを込めて手を合わせることが最も大切です。
お焚き上げとは?処分との違い
「お焚き上げ」は、炎の浄化の力を借りて魂を天に還す神聖な儀式です。仏教だけでなく神道でも行われており、「火の神に託して清める」という意味があります。
位牌や遺影、故人の遺品などを一緒にお焚き上げに出す方も多く、“ありがとう”の気持ちを形にする最も穏やかな供養法です。
一方、「処分」は単に物理的に廃棄する行為を指します。供養の意を込めない処分は、心残りを感じやすく、後悔につながることもあります。
だからこそ、供養と処分を一体にした「お焚き上げ」を選ぶことが、心の整理にもつながります。
手放す前にしておきたい準備
位牌を手放す前に、次のステップを踏むと心穏やかに進められます。
🔹 感謝の記録を残す
位牌を写真に収めておくことで、形を残さなくても思い出をつなぐことができます。アルバムやスマートフォンに保存し、時々見返すのも良いでしょう。
🔹 手紙やメッセージを添える
短い言葉でも構いません。「ありがとう」「見守っていてね」などのメッセージを紙に書き添えて位牌と一緒に供養すると、心の整理がより深まります。
🔹 家族で想いを共有する
家族で一緒にお参りし、思い出話をしながらお別れをする時間を設けることで、悲しみがやわらぎます。供養は形式ではなく、気持ちの共有が最も大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 複数の位牌をまとめて処分してもいいですか?
A. 可能です。お寺や仏具店では、複数の位牌をまとめてお焚き上げしてもらえます。まとめる際は、魂抜きをそれぞれに行っておくと安心です。
Q2. 魂抜きをしないまま処分してしまった場合は?
A. 心配しすぎなくても大丈夫です。後日あらためて僧侶にお願いすれば、供養をしてもらえます。感謝の心があれば問題ありません。
Q3. お焚き上げを行う時期に決まりはありますか?
A. 特に決まりはありませんが、お盆や年末年始、春秋のお彼岸など、節目の時期に行う方が多いです。
Q4. 郵送で依頼する際に注意すべきことは?
A. 魂抜き済みであることを明記したメモと、お布施を同封するのが一般的です。配送時は、丁寧に梱包し「供養品」と記載しましょう。
Q5. 古い位牌はリメイクできますか?
A. 近年では、古い位牌を小型化したり、デザイン仏壇に合わせてリメイクするサービスもあります。処分だけでなく、“新しい形で供養を続ける”という選択も素敵です。
まとめ:感謝の心で、最後まで丁寧に
位牌は、故人との絆を象徴する存在です。手放すときも「終わり」ではなく、「感謝を伝える節目」として受け止めましょう。
供養の方法に正解はありません。大切なのは、故人を想う心を込めて見送ることです。
お寺や仏具店に相談しながら、自分らしい形で穏やかな区切りを迎えましょう。
ありがとうの気持ちが、次の平穏な日々を運んでくれるはずです。





