「親が認知症になったら、財産はどう管理するの?」「相続税を少しでも節税するには?」そんな不安を解決する手段として注目されているのが、生命保険信託(生命保険と家族信託を組み合わせた仕組み)です。
例えば、親が認知症になったことで銀行口座が凍結され、生活費の引き出しや不動産の売却ができなくなったという事例は少なくありません。もし「自分の親が同じ状況になったら?」と想像すると、多くの方が不安を感じるのではないでしょうか。こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、この仕組みは重要です。
本記事では、このメリットや活用方法をわかりやすく解説します。相続や介護、税金の悩みを抱えるご家族にとって、最適な選択肢となるかどうかを判断する材料として、ぜひご一読ください。
1. 生命保険と家族信託の基本的な役割

生命保険の役割
生命保険は、相続時に即座に現金化できる大きなメリットがあります。現金がすぐに手に入ることで、
- 葬儀費用や未払い医療費の支払い
- 相続税の納付(申告から10か月以内)
- 遺産分割までの生活費補填
など、実務面でも非常に重宝されます。また、受取人を個別に指定できるため、特定の子や孫に確実に渡したい場合にも有効です。
家族信託の役割
一方で、家族信託は「財産を持つ人(委託者)」が「信頼できる家族(受託者)」に対して、自分の代わりに財産を管理・運用・処分する権限を託す仕組みです。たとえば、不動産を信託化すれば、認知症後でも受託者が売却や賃貸運用を行えます。従来の遺言や成年後見ではカバーしきれない部分を補えるのが大きな特長です。
2. 認知症リスクに対応できる仕組み
例えば、高齢の親が所有する賃貸マンションや投資用不動産。将来的に親が認知症になると、名義人としての意思表示ができないため、売却や建て替え、修繕工事すらできなくなることがあります。成年後見制度を利用すると、家庭裁判所の許可が必要となり、運用の自由度が大きく制限されます。
これに対し家族信託を組んでおけば、親が元気なうちに信託契約を結ぶことで、受託者が将来の意思決定を一貫して行える体制を整えることができます。さらに、生命保険金を受託者が管理する信託口座に入るよう設定すれば、将来の介護費や施設費用、在宅医療費などの資金として計画的に備えることが可能です。
3. 節税効果を高める仕組み(生命保険信託の活用)
生命保険の非課税枠
生命保険には、他の財産にはない独自の相続税の優遇措置があります。その代表例が「非課税枠」です。相続人がいる場合、一定額までは保険金に税金がかからず、効率よく資産を残せる仕組みとなっています。
- 例:相続人が配偶者+子2人の場合
→ 500万円×3人=1,500万円が非課税枠
この非課税枠は、現金や預貯金には適用されません。生命保険ならではの節税メリットといえます。
【シミュレーション(例)】
- 遺産総額:4,000万円
- 相続人:配偶者+子2人(合計3人)
- 生命保険金:1,500万円(非課税枠で全額控除可能)
→ 課税対象額は実質2,500万円となり、相続税額を大幅に減らせる。
仮にこの保険金がなければ、4,000万円が課税対象になり、税額にして数十万円〜数百万円の差が出ることもあります。
家族信託との組み合わせ
生命保険だけでも相続対策として十分に活用できますが、家族信託と組み合わせることで、より柔軟で将来に強い仕組みをつくることができます。以下に、具体的な組み合わせのメリットを紹介します。
- 信託契約の中で「生命保険の受取人」を信託に組み込み、遺産分割のルールを明確にできる
- 特定の子に多めに残す、孫に教育資金を使わせるなど、オーダーメイドの相続設計が可能
- 二次相続(配偶者→子への承継)も想定して、資産承継の順番をコントロールできる
4. 実際の活用イメージ
以下は仕組みの簡単な流れです。
被相続人 → (生命保険契約) → 信託財産化 → 受託者が管理 → 受益者へ承継
名義変更や相続登記の手間を減らしつつ、トラブル回避や費用対策を同時に進めることができます。
ケース1:介護費用の確保
父親が家族信託を設定し、長男を受託者に任命。
さらに生命保険を契約し、受取人を信託に指定。
→ 認知症になっても長男が財産管理を継続し、保険金で介護費用を確保できる。
ケース2:二次相続の節税
母親が亡くなった後、父親が受取人の生命保険を信託に組み込み、
「父の死後は子ども2人に均等に承継」と設定。
→ 父親の認知症リスクを回避しつつ、二次相続の分割トラブルも防止。
ケース3:孫への教育資金対策
祖父が生命保険を契約し、信託で孫の教育費専用口座として管理。
→ 教育費としてのみ使用できる仕組みにより、安心して孫に資産を承継できる。
→ 贈与税や教育資金一括贈与の特例と併用することで、さらに効率的な資産移転が可能。
5. メリットとデメリット(生命保険×家族信託の相続対策)
メリット
- 認知症対策:成年後見制度よりも柔軟に財産管理ができる
- 節税効果:生命保険の非課税枠を活用できる
- トラブル防止:遺産分割ルールを明確にし、争いを未然に防げる
- 柔軟な承継設計:承継先を孫や特定の子どもなど細かく指定可能
- 資産の柔軟な分配:遺言と異なり、生前から段階的に資産を分配できる
- 受託者交代が可能:受託者が病気や退任を希望してもスムーズに交代できる
- 生活保護との両立:受益権の調整で生活保護制度と両立できる場合がある
デメリット(⚠️ 注意点)
- コスト:契約や登記、専門家費用などがかかる
- 保険会社の制約:「信託」を受取人にできない場合がある
- 管理負担:受託者に業務が集中するリスク
- 制度変更リスク:法改正や制度変更に左右される可能性がある
- 信託口座開設の手間:金融機関によっては数週間かかる
- 複雑性:複数受益者や段階的承継は契約内容が複雑化しやすい
- 保険会社対応の差:すべての保険会社が信託契約を受取人に設定できるわけではない
6. 専門家に相談する際のチェックポイントの補足
専門家に相談する際は、以下のような質問や準備をしておくと、よりスムーズに自分に合った提案を受けることができます。
- 自分の資産の種類(現金・不動産・有価証券など)と金額の把握
- 想定する受益者(家族構成、孫の年齢、扶養関係など)
- 認知症や介護に対する希望(在宅・施設・費用想定など)
- 相談先に確認したいこと:
- 「生命保険信託に強いですか?」
- 「保険会社との連携経験はありますか?」
- 「二次相続も含めた提案をしてくれますか?」
📌 専門家へのアクション
まずは地元の司法書士・税理士・ファイナンシャルプランナーに相談予約をしてみましょう。初回相談は無料の場合も多く、気軽に活用できます。
7. 実行までのステップ
- 家族で方向性を共有:財産の所在、家族の意向、相続人の関係性を話し合う
↓ - 専門家に相談:司法書士・税理士・保険代理店などに相談して設計方針を決定
↓ - 生命保険契約の見直し:保険の受取人や契約者を変更・新規契約する場合も
↓ - 家族信託契約の締結:信託契約書を作成し、公証役場での認証も検討
↓ - 信託口座の開設と保険の信託化:保険金が受託者口座に振り込まれるように設定
↓ - 定期的な見直し:法改正や家族構成の変化に応じて見直す
このようにステップを整理しておけば、取り組みやすく、失敗のリスクも軽減できます。
8. こんな方におすすめ
- 親の財産管理が不安な方
- 相続税を軽減したい方
- 認知症対策をしたい方
- 家族間の争いを避けたい方
- 子や孫に確実に資産を残したい方
9. まとめ:生命保険信託の活用で安心の資産承継を
生命保険と家族信託の組み合わせは、相続・認知症・節税・家族の安心という多方面に効果的な「攻めと守り」の相続対策です。
一度しかない大切な相続の機会を、後悔なく・家族と円満に迎えるために──
少しでも不安や疑問があれば、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。
今すぐできる行動チェック
✅ 家族で資産・相続について話す時間を設ける
✅ 専門家を探してみる
👉家族信託のおやとこ
👉弁護士法人グループの身元保証
✅ 保険証券と登記簿を整理しておく



