高齢者は感染症にかかると重症化しやすく、特にインフルエンザやノロウイルスは“冬場の二大リスク”と言われています。2025年冬は、例年より乾燥が強くなると予測されており(気象庁発表)、ウイルスが生存しやすい環境が続く可能性があります。ご家庭や介護施設では、今日からできる現実的な対策が欠かせません。
本記事では、家庭介護・施設介護どちらにも使える、根拠に基づいた感染症対策を、わかりやすく・再現性の高い形でまとめました。
1. 高齢者が感染症に弱い理由
高齢者が感染症にかかりやすいのは、単に免疫力が低下しているからだけではありません。以下の複数の要因が重なることで、感染に“非常に弱い状態”が生まれます。
● 加齢による免疫力の低下
・免疫細胞の働きが鈍り、ウイルスへの反応が遅れやすい ・ワクチンの効果が若い人より出にくい傾向
● 基礎疾患の影響
・心臓や腎臓、呼吸器系の病気があると重症化しやすい ・糖尿病は免疫を抑える働きがあるため特に注意
● 介護環境によるウイルス持ち込みリスク
・複数の介護者の出入りがある場合、家庭よりも感染リスクが高い ・通所サービスの利用者が増える冬は持ち込みが特に増加
● 身体機能の低下
・咳の力が弱いため、ウイルスが体内に残りやすい ・脱水になりやすく回復が遅れる 高齢者は加齢に伴い免疫細胞(T細胞・B細胞)の働きが弱くなり、身体の防御機能が大幅に低下します。国立感染症研究所の報告では、加齢とともにウイルスに対する初期反応が遅くなるため、感染後の重症化率が若い世代に比べて顕著に高いとされています。また、厚生労働省の報告では、糖尿病・心疾患・腎疾患などの基礎疾患がある人は感染後に重症化しやすいとされています。
さらに介護環境では、複数の家族や介護者が出入りすることによる“ウイルス持ち込みリスク”が高い点も無視できません。
2. 介護中に特に注意すべき感染症

● インフルエンザ
・急激な発熱、関節痛、倦怠感が特徴 ・肺炎を併発しやすく、入院につながりやすい ・高齢者は症状が軽く見える“隠れインフル”のケースもある
● ノロウイルス
・嘔吐・下痢が中心で、脱水の危険が高い ・乾燥した環境でも長時間生存(国立感染症研究所) ・家庭内で一人発症すると、介護者に広がるケースが多い
● 風邪・胃腸炎などその他の感染症
軽い症状でも高齢者にとっては大きな負担になるため油断は禁物です。
3. 今日からできる家庭での予防策
介護現場での感染対策は、実は“特別なこと”よりも“毎日の積み重ね”が最も効果を発揮します。
3-1. 手洗い・消毒の徹底
・石けんで30秒以上、指先・手首まで丁寧に洗う ・介護者はトイレ介助前後の手洗いを必須に ・アルコールは乾くまでこすり込み、爪は短く清潔に
【施設向けポイント】
出入口にアルコールを設置し、利用者・スタッフの動線に合わせて複数箇所へ配置すると効果が高まります。
3-2. 室内の湿度・換気管理
・湿度40〜60%をキープすると、インフルウイルスの生存時間が短くなると言われています ・1〜2時間に一度、数分の換気を行う ・加湿器は2週間に1度のフィルター掃除が必要
【家庭向け例】
寝室に濡れタオルを干すだけでも湿度が上がりやすくなります。
3-3. マスク着用
・介護者は無症状でも基本はマスク着用 ・高齢者は息苦しくない薄手・立体マスクがおすすめ
3-4. 介護用品の清潔管理
・嘔吐時に使ったタオルや布類は密閉袋へ入れて洗濯へ ・手すり・スイッチ・ドアノブは毎日拭き取り ・ノロには 次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの) が有効
⚠ 注意:ノロにはアルコール消毒は効きません
4. インフルエンザ・ノロを防ぐための食事と体調管理
感染に強い身体づくりは、日々の生活習慣から作られます。
● 免疫力を高める食材
・ビタミンC:みかん・ブロッコリー・パプリカ
・たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品
・発酵食品:味噌・ヨーグルト・納豆
● 水分補給
・高齢者は喉の渇きを感じにくいため、定期的に声掛けを ・経口補水液は、脱水予防・回復に効果的
● 規則正しい生活リズム
・睡眠不足は免疫低下につながる ・朝に日光を浴びることで体内時計が整う
5. 介護者自身を感染から守るポイント
介護者が感染すると、介護は一気に立ち行かなくなります。
● 外出リスクを減らす
・流行期は人混みを避ける
・帰宅後すぐに手洗い・うがい・着替えを行う
● ワクチン接種
・インフルエンザワクチンは重症化予防に大きな効果 ・介護者こそ優先的に接種を検討したい
● 休息の確保
疲労蓄積はもっとも感染しやすい状態です。
家族と役割分担し、無理のない介護を。
6. 感染が疑われるときの初期対応
「早めの隔離」「早めの相談」が感染拡大を防ぎます。
● インフルエンザの可能性がある場合
・発熱・咳が出たらまずは部屋を分ける
・食器・タオル・寝具は共有しない
・往診やオンライン診療も活用すると安心
● ノロウイルスの可能性がある場合
・嘔吐物は乾く前に紙で覆い、次亜塩素酸で処理
・処理中はマスク・手袋・エプロンを着用
・処理後は 石けんでの手洗いが必須
【よくある失敗例】
・嘔吐物処理後にアルコールだけで済ませてしまう
→ ノロには効果が不十分です。
7. 家庭内で感染者が出た場合の具体的な動き方
家庭内感染は、ポイントを押さえると大幅に防げます。
● ゾーニング(部屋分け)
・感染者の部屋を1つ決めて、他の家族が出入りしないようにする
・可能な限りトイレも分ける(難しい場合は使用後に消毒)
● 動線を分ける
・高齢者と感染者の動線が交差しないよう工夫
・食事は別室、受け渡しはドア前に置く方式でもOK
● 洗濯・食器の扱い
・洗濯は他の家族の衣類と分ける
・食器は熱湯消毒もしくは食洗機の高温モードが効果的
8. 備蓄しておくと安心のアイテム
冬の感染症対策では、備蓄があるだけで対応が格段に楽になります。
- 使い捨て手袋
- 使い捨てエプロン
- マスク(高齢者は息苦しくないタイプ)
- 次亜塩素酸ナトリウム液
- 経口補水液
- 体温計・パルスオキシメーター
- 嘔吐物処理キット
- ウエットティッシュ(アルコール・ノンアルコールの両方)
💡: 毎年冬前に“備蓄見直し日”を決めると、管理が楽になります。
★★★パルスオキシメーター
・肺炎の早期発見に役立つ ・インフルエンザ流行時には必須級
まとめ
2025年冬は感染症リスクが高まる可能性がありますが、毎日の小さな習慣が大きな防御力になります。
特に大切なのは、
「手洗い」」「湿度管理」「早期対応」
この3つです。
介護者と高齢者が安心して冬を越せるよう、ご家庭に合った対策を取り入れ、無理なく続けていきましょう。
揃えておくと安心です。どれも介護家庭での使用実績があり、感染対策の強い味方になります。





