「不動産を生前贈与しておけば安心」と考えている方は少なくありません。不動産は財産規模が大きく、家族間トラブルの原因にもなりやすいため、相続を控える家庭では特に注目されるテーマです。しかし、2024年の税制改正で大きくルールが変わり、不動産を贈与する場合にも影響が出ています。相続を控える高齢者や不動産を所有する家族にとって、正しい理解と対策が不可欠です。本記事では、不動産の生前贈与に焦点を当て、最新ルールと注意点を解説します。
生前贈与と不動産

不動産を生前に贈与することで、相続税の対象となる財産を減らし、円滑に次世代へ財産を引き継ぐことができます。ただし現金贈与と違い、不動産の生前贈与には登記手続きや登録免許税、不動産取得税などの費用が伴うため注意が必要です。
2024年改正の影響(不動産編)
加算期間が3年から7年に延びたことで、不動産贈与もより長期間相続財産に含まれるようになりました。
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 影響度 |
|---|---|---|---|
| 生前贈与加算の対象期間 | 相続開始前3年以内 | 相続開始前7年以内 | 大 |
| 相続時精算課税制度 | 基礎控除なし | 年間110万円の基礎控除が新設 | 中 |
➡ 不動産を生前贈与した場合も、相続開始前7年以内であれば相続財産に加算されるため、節税効果を見込むなら早めの計画が必要です。
暦年課税とは
暦年課税は、毎年110万円までの贈与について非課税枠を利用できる制度です。贈与額が110万円を超えると、その超過分に累進課税が適用されます。少額の贈与をコツコツ続けたい場合に向いており、使いやすいのが特徴です。ただし2024年改正により、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるため注意が必要です。
相続時精算課税制度と不動産贈与
不動産を贈与する際によく使われるのが「相続時精算課税制度」です。従来は基礎控除がなく使いづらい制度でしたが、2024年からは年間110万円までの基礎控除が設けられ、少額贈与にも対応しやすくなりました。
➡ これにより、不動産の一括贈与だけでなく、リフォーム資金や土地の一部贈与など、小口での活用も検討可能になりました。
暦年課税 vs 相続時精算課税
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
| 基礎控除 | 年間110万円 | 年間110万円+特別控除2,500万円 |
| 贈与税 | 基礎控除超に累進税率 | 特別控除以内は非課税 |
| 相続税計算時 | 3年(改正後は7年)以内は加算 | 全額相続財産に加算 |
| 向いているケース | 少額贈与をコツコツ行う場合 | 高額不動産を一括で贈与する場合 |
💡 ポイント:不動産の贈与は金額が大きくなりやすく、暦年課税よりも「相続時精算課税制度」を活用するケースが多いのが特徴です。
不動産贈与のメリットとリスク
- ✅ メリット
- 不動産を早めに移転することで、相続時のトラブルを防げる
- 将来の地価上昇リスクを回避できる
- 相続税の対象財産を減らすことができる
- ⚠️ リスク・注意点
- 登録免許税(固定資産税評価額の2%)や不動産取得税(3%程度)がかかる
例:評価額2,000万円の土地の場合、登録免許税は約40万円、不動産取得税は約60万円が目安 - 評価額が高いため、贈与税の課税額も大きくなりやすい
- 贈与後の管理責任(固定資産税の支払い、維持管理)が子に移る
- 不動産の評価額は路線価・固定資産税評価で決まるため、事前に確認が必要
- 贈与後も居住する場合、使用貸借の扱いとなるため契約書の明記が望ましい
- 登録免許税(固定資産税評価額の2%)や不動産取得税(3%程度)がかかる
💡 事例:評価額を誤って申告し、後に追徴課税を受けるケースがあります。必ず専門家に確認しましょう。
不動産贈与のケーススタディ
例:固定資産税評価額2,000万円の土地を2025年に子へ贈与した場合
- 暦年課税で贈与すると、非課税枠110万円を差し引いた1,890万円に贈与税が課税(税額例:約315万円 ※税率15%と仮定)
- 相続時精算課税を利用すれば、特別控除2,500万円を使うことで贈与税ゼロで移転可能(ただし相続時に相続財産に加算)
➡ 結論: 不動産は金額が大きいため、暦年課税より相続時精算課税制度を活用した方が有利になるケースが多い。
まとめ
不動産を生前贈与する際、結局どの方法が節税につながるのか気になるところです。基本的には、高額な不動産をまとめて贈与する場合は「相続時精算課税制度」を使った方が有利なケースが多く、少額ずつ分けて贈与する場合は「暦年課税」が向いています。ただし、いずれも2024年改正で「7年ルール」により加算対象が広がったため、早めの行動が節税のカギになります。
不動産の生前贈与は、現金贈与以上にメリットとリスクが大きい手続きです。2024年改正により「7年ルール」が導入されたことで、計画性が一層重要になりました。
👉 不動産贈与を検討している方は、税理士や司法書士に具体的な試算を依頼し、家族の事情に合った最適な方法を選ぶことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 不動産を贈与した場合も7年ルールの対象になりますか?
A1. はい。不動産も現金と同様に生前贈与の対象です。2024年以降は相続開始前7年以内の贈与分が相続財産に加算されます。
Q2. 贈与後も親が住み続ける場合はどうなりますか?
A2. 贈与後も贈与者が住み続ける場合は「使用貸借」と扱われるため、原則として課税上問題はありません。ただし契約書を作成して明確にしておくと安心です。
Q3. 相続時精算課税を選んだら暦年課税に戻せますか?
A3. 一度選択すると変更はできません。特に不動産のような高額財産は、制度選択を慎重に検討する必要があります。
Q4. 贈与税以外にかかる費用はありますか?
A4. 登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬などの費用が必要です。評価額2,000万円の土地の場合、これらだけで100万円前後かかるケースもあります。
Q5. 贈与契約書は必ず作成する必要がありますか?
A5. 義務ではありませんが、税務調査で贈与の事実を証明するために作成することを強くおすすめします。



