「何から手をつければいいのかわからない…」相続が発生すると、悲しみの中でさまざまな手続きをこなさなければなりません。とくに重要なのが、「相続財産の調査」です。
通帳や証券、不動産の資料はもちろん、最近ではスマホの中のデジタル資産や、借金・保証契約の存在も見落とせません。知らずにいると、「プラスの財産だけでなく、マイナスの財産まで引き継いでしまった…」という事態にもなりかねません。
この記事では、預金・株式・不動産・借金・デジタル資産まで、調査すべき項目を網羅して解説しています。
相続財産調査の全体フロー
相続の調査全体を見渡すことで、やるべきことの順番が分かり、効率的に進められます。
① 郵便物やスマホから財産の手がかりを探す
↓
② 通帳・明細・証券・不動産資料を確認
↓
③ プラス/マイナス資産を分類しリスト化
↓
④ 相続放棄などの判断(3か月以内)
↓
⑤ 名義変更・遺産分割の準備
👉 まずは「証拠になる書類」を探し出すところから始めましょう。
死亡直後にやるべきことチェックリスト
相続財産の調査に入る前に、まずは死亡直後に必要な公的手続きを漏れなく済ませましょう。
| やること | 期限 | 備考 |
|---|---|---|
| 死亡届の提出 | 7日以内 | 役所に提出、火葬許可証取得 |
| 年金の停止手続き | 14日以内 | 年金事務所や市区町村役場 |
| 公共料金の名義変更 | 早めに | 電気・ガス・水道・携帯など |
| 健康保険の喪失手続き | 14日以内 | 健康保険証の返却も必要 |
| 法定相続情報一覧図の取得 | 任意だが早めが望ましい | 登記・金融機関手続きが効率化 |
相続財産調査の基本の流れ
財産調査は大きく分けて5つのステップに整理できます。全体像を理解した上で進めましょう。
- プラスの財産(預金・株式・不動産など)を確認
- マイナスの財産(借金・ローン・未払い金など)を確認
- 一覧表にまとめ、評価額を算出
- 相続放棄や限定承認を検討する場合は家庭裁判所へ申述
- 遺産分割協議の準備を整える
👉 ポイント:プラスとマイナスの両方を必ず調べることが重要です。
💡 補足:相続人全員で調査内容を共有することで、トラブルの防止にもつながります。可能であれば中間報告をしながら進めましょう。
預金の調査方法
相続財産の中でも特に多いのが預貯金です。通帳や郵便物などを手がかりに調べていきましょう。
- 通帳、キャッシュカード、定期預金証書、ネットバンキングのログイン履歴を確認。
- 郵便物に記載された口座番号・金融機関名をチェック。
- 遺族が直接金融機関へ残高証明を請求することも可能(相続人である証明が必要)。
- ネット銀行の場合は、ログイン情報や認証コードの確認も忘れずに。
💡 ワンポイント:故人のスマホに「MoneyForward」など家計簿アプリがある場合は、資産の全体像が見える可能性があります。
株式・投資信託・証券口座の調査方法
株式や投資信託などの金融商品も相続の対象となります。郵便物やアプリから手がかりを探しましょう。
- 証券会社からの郵便物、電子交付書面、取引履歴などを確認。
- スマホの証券アプリや、メールのログイン情報から利用証券会社を把握。
- 株式の名義変更には「相続人全員の同意」「被相続人の死亡診断書・戸籍謄本」が必要。
- NISA口座がある場合、税制面の注意点も含めて整理しておく。
💡 ワンポイント:証券会社によっては、資産状況の開示請求に日数がかかることもあるため早めの手続きが推奨されます。
不動産の調査方法
土地や建物といった不動産は評価額が大きく、遺産分割でも重要なポイントになります。
- 登記簿謄本(法務局)、固定資産税の納税通知書から所有不動産を確認。
- 住宅ローンが残っているか、団体信用生命保険が適用されるかを確認。
- 不動産の評価額は「路線価」「固定資産評価額」「実勢価格」の3つの観点で確認。
- 空き家・田舎の土地・共有名義などは将来の処分も見据えた調査を。
💡 ワンポイント:空き家バンクや自治体の解体補助金制度も合わせて確認を。
借金・ローンなどマイナス財産の調査方法
プラスの財産だけでなく、借金やローンなどマイナスの財産も必ず確認が必要です。
- クレジットカード明細、ローン契約書、消費者金融からの通知などを確認。
- 信用情報(JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センター)を取り寄せて調査することも可能。
- 住宅ローン・車のローン・事業性借入・保証人契約も忘れずに確認。
- 相続放棄や限定承認を検討する場合、必ず3か月以内に手続きを行うこと。
💡 ワンポイント:故人が連帯保証人になっていた借入についても責任が及ぶ可能性があるため、慎重に確認を。
財産の所在が不明な場合の対処法
どの金融機関や証券会社に財産があるのか分からない場合も、調査の方法があります。
- 複数の金融機関に個別照会を行う(遺族からの死亡届提出が前提)
- 証券会社は郵便物やスマホアプリから絞り込み、照会依頼をする
- 預金については「銀行協会による預金照会制度」を活用する
- SNSやメールにある通知や連携アプリの記録も見逃さない
💡 補足:「ゆうちょ銀行」や「農協(JAバンク)」も対象外にならないよう確認を
法定相続情報一覧図の活用
複数の手続きを効率化できるのが「法定相続情報一覧図」です。相続人を証明する書類として活用できます。
- 戸籍一式を法務局に提出し、「相続人一覧の証明書」を無料で発行してもらえる制度
- 複数の手続き(不動産登記・証券会社・銀行等)に同じ資料を使える
- 手間の軽減・証明資料の簡素化につながる
💡 注意点:戸籍がそろっていないと作成できないため、事前準備を丁寧に
デジタル遺産(ネット銀行・暗号資産など)の調査方法
現代の相続では、スマホやPCに眠るデジタル資産の確認も欠かせません。
- 対象資産の例:ネット銀行、暗号資産(ビットコインなど)、ネット証券、クラウドストレージ、電子マネー、SNSアカウントなど
- 確認のヒント:スマホやPCの中の「パスワード管理アプリ」、メール受信履歴、スマホの通知からログイン情報を探す
- 注意点:暗号資産は「秘密鍵」を失うと二度とアクセスできません。相続前からの管理・記録が極めて重要です。
💡 補足:相続税の課税対象になる場合もあるため、専門家への相談をおすすめします。
相続財産の手続きスケジュール(時系列まとめ)
手続きには期限が決まっている手続きが多く、特に「相続放棄」「相続税の申告」は注意が必要です。全体の流れを時系列で把握し、早めの準備を進めましょう。
| 時期 | やること | 備考 |
| 死亡直後〜7日 | 死亡届提出、葬儀 | 戸籍の取得も並行して |
| 〜3か月以内 | 財産調査、相続放棄 | 調査結果をもとに判断 |
| 〜4か月以内 | 準確定申告 | 故人の所得税申告 |
| 〜10か月以内 | 相続税申告・納税 | 課税対象がある場合 |
財産調査チェックリスト
相続財産を正確に把握するためには、どこを・どう調べるかの視点が欠かせません。
下記のチェックリストを活用すれば、抜け漏れを防ぎながら、効率的に調査を進められます。
| 種別 | 調査すべき書類・手段 | 注意点 |
| 預金 | 通帳、キャッシュカード、郵便物、ネットバンク | ネットバンクはログイン情報必須 |
| 株式・投信 | 取引明細、証券会社からの郵便物、電子通知 | NISA口座の扱いに注意 |
| 不動産 | 登記簿謄本、固定資産税通知書 | 共有名義や空き家にも注意 |
| 借金 | 契約書、信用情報(CICなど) | 保証人契約も含めて確認 |
| デジタル資産 | スマホ内情報、パスワード帳、通知メール | 秘密鍵の紛失に注意 |
📊 一般的な相続財産の割合(モデルケース)
- 預貯金:45%
- 不動産:35%
- 株式・証券:10%
- その他(借金・保険金・デジタル資産など):10%
よくある質問(FAQ)
Q. 書面を残していない贈与は課税対象になる?
→ 書面がないと贈与の事実が証明しづらく、税務署が否定する可能性があります。必ず贈与契約書を作成しましょう。
Q. 贈与したお金を親が管理しているとどうなる?
→ 名義預金と判断され、贈与と認められないことがあります。贈与後は、受贈者本人が管理・使用できる状態にしましょう。
Q. 財産の調査はどこまでやれば十分?
→ 最低でも「預金・不動産・借金・証券・デジタル資産」の5種は調べるのが基本です。心配な場合は税理士や弁護士に相談を。
Q. 弁護士に相談すべきタイミングは?
→ 遺産分割協議が難航しそうなとき、相続人同士の感情的な対立があるとき、相続放棄を検討しているときなどは早めに相談を。
専門家に相談するべきケースとは?
- 財産の種類が多岐にわたる(不動産・未上場株式・海外資産など)
- 相続税の申告が必要なケース(課税対象額が基礎控除を超える)
- 相続人間でトラブルや感情的なもつれがある
- 相続放棄や限定承認を検討している
- 名義変更・登記に関して手続きの手間を省きたい
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まとめ|相続財産の調査は“家族を守る第一歩”
相続財産の調査は、「もらうため」だけでなく、思わぬ借金を引き継がないための防御策でもあります。
とくに最近では、ネット銀行・暗号資産・スマホアプリ管理の財産も増えており、「気づかなかった」が命取りになるケースも珍しくありません。
以下のような点を押さえておくことで、スムーズな相続手続きにつながります:
- 通帳・郵便物・スマホの中身を確認するところから始める
- プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も必ず調べる
- 「わからないこと」は早めに専門家へ相談する
一つひとつ確実に進めていけば、家族がもめることなく相続を終えることができます。
不安なときは、この記事の「チェックリスト」や「フロー」を活用してください。




